桃色核電波

俺はな、インターネットメンヘラ芸人を10年やってんだ。

真っ直ぐな棒を1本刺してくれ脳のだるさにねじれる僕に

頭の中にインターネットがある。私の思考や行動に対しとやかく言ってくるそれはインターネット上の罵詈雑言と同じでろくに私の事など知らないくせに私に対して批判ばかりしてくるのだ。具体的な例をあげると、最近お客さんに連絡先を聞かれた。ここまではまぁあることなのでやんわりと断れば私の頭もそこまで働かずに済む話だがそのお客さんは精神疾患を患っていることを私に打ち明けていたのだ。

 

「僕さぁ鬱とパニック障害と(忘れた)諸々あって死のうとして50針縫って抜糸に2日もかかったんだよね」と左手首の深い傷を見せてきた。その後に私のことをえらく気に入ってくれて連絡先を交換したいと申し出てきたのだ。そこで私はやんわりと断り、退勤後帰り道でなんとツイートしようか考えた。私は頭の中を整理するのに文字に起こすことが多く、特にツイートにしようすると内容を140字に簡潔にまとめられ悩んだことや困ったことも面白おかしく書き上げることができるのでよくツイートする文章を考えている。

 

今回の出来事に関してはまずこうだ

精神疾患持ってる人間って人との距離の縮め方おかしいからあまり関わりたくないんですよね」

これじゃあ角がありすぎる。精神疾患を持っている人間に対しての偏見が酷い。

 

こんな時私の頭の中のインターネットが動き出し「私も精神疾患でも頑張って働いてるのに差別だ」「あなただって精神疾患みたいなもんでしょw」「なんで上から目線だよ」「精神疾患持ってる人間を一括りにするな」「クソデカ主語乙」などとニコニコ動画を彷彿とさせる弾幕が私の頭の中に流れるのだ。

 

じゃあこれではどうだろう

精神疾患持ちのお客さんに連絡先交換しようって言われたけどメンヘラって愛をなにか果てしのない神聖なものと勘違いしていて合理性や現実味を忘れて求め続けるからメンヘラと付き合うことって例えるなら絶対に満ちることのない空のコップに水を注ぎ続けるようなものなので私をその作業に加担させないで下さい、とは言えずやんわりお店に禁止されてるので〜と断った」

これは渾身の真理である。しかしこれでも角が立っている。

「そんなことばかり考えているからモテない」などと別にモテたくもないのにあらゆる方向から文字列が脳内になだれ込んでくる。

 

Twitterをフォローしている女の子も頭の中におじさんがいて「女はこうあるべき」と言ってくるとツイートしているのを見たので意外とみんな頭の中にそういった別の何かがいるのかもしれない。それが人によってインターネットだったりおじさんだったりするだけで。

 

ただこれって頭の中の人なので要は自分自身の声なわけで。本当の敵は自分とはよく言ったものだ。

私は帰り道でツイートの内容を考えているうちに、自分が誰と戦っているのかわからなくなってきました。疲れてる時、思考が止まらなくなるのは私の悪い癖で、だから今日もお酒を飲んで一度脳を休ませることにしました。酔いがまわってきたので今日はこの辺で。