桃色核電波

俺はな、インターネットメンヘラ芸人を10年やってんだ。

死にたさと楽しさが比例していた時期

あの頃はお金は無いけど楽しかった、みたいな時期が誰にでもあると思います。私のお金が無いけど楽しかった時期はキャバクラで勤めていた3年ほど前。キャバとかけ持ちしていた昼職を辞めて、昼職最後のお給料をもらえなくて(労基見てるか仕事しろ)ほんっとーーに毎日お金が無くてキャバクラの日払いで生活していました。

 

すすきのの売れてないキャバ嬢って本当に酷くて、みんなその日暮らしで生きていてコロナで卓予定もフリーも来ないからぼーっと突っ立ってるだけ。そしてみんなお金が無くても楽しめる相席居酒屋からのホストクラブの初回巡りという娯楽にいきつくんですね。そこでハマっちゃった子は日払いの1万円握りしめて退勤後ホストに行くみたいな。みんな1万持って1時間だけ行くことをハッピーセットって呼んでました笑

 

そんな中で私が仲良くなったのはひとつ歳下の女の子。源氏名はゆずちゃんでした。ゆずちゃんも私も本当にどうしようもなくだらしなくて、メンヘラで、ゆずちゃんはちゃんとひとり暮らしの家があるのにすすきのから遠いという理由で家に帰らず、ネカフェやほのか、男の家を転々として暮らしていました。でも初めて女の子でゆらゆら帝国神聖かまってちゃんモーモールルギャバンやニガミ17才を好きな子と出会えたんだ。

 

私達は音楽の趣味も、してきた恋愛も、無駄に頭だけは良かったので自分だけは周りと違うと思い込み生きづらいところもよく似ていました。あれから1000日あまりが過ぎ、少し大人になった今の私にはつまらんプライドが身を滅ぼすってこと、わかるよ!

 

キャバクラの待機室は女子校みたいで、女子学科出身の私にはとても過ごしやすい空間でした。パンツ丸出しで歩いてたり、「腕毛やべー」「ZOZOの後払い放置して弁護士から手紙来たわ」「うちも〜」みたいな発言が聞こえてきたり笑

 

ゆずちゃんとは毎日一緒に待機して、一緒にアフターに行って、卓がない日は一緒にごはんに行って、とにかく本当に毎日一緒にいました。でもなんか当時何話してたのか全然思い出せないのはうちらが本当にしょうもない話ばかりしてたからなのか、常飲している薬による健忘なのかもうわからなくなっちゃったね。

 

私が薬をじゃらじゃら飲んでしまった冬の日に「ラリんな!」って寝ている彼氏を起こさないようにお風呂場から電話をかけてきてくれたのは彼女でした。なんて美しい友情。でも出勤の度、左手首に湿布を貼って傷口を隠していたのもまた彼女でした。なんて鬱くしい友情。ていうか痛いだろその隠し方。

 

2人で明日受診できる心療内科をカラオケで探して「初診1万だって!」「無理だわ!全財産合わせても足りねー!」って笑ったり、予行練習と称してバンジージャンプを調べまくったり。それはもうすすきので見つけた歪な青春って感じで青かった。

 

そして美しい友情の果てに私達はラブホテルで自殺を決意しました。沢山のお酒と薬を買い込んで1番安いラブホに泊まりました。受付のおばさんの冷たい対応といつまでも温かくならない湯船を今でも思い出します。

 

「いつか大人になった時あの頃何がそんなに辛かったのかなって思える日がくるかな」って泣きながら話しました。今なら分かります。アルコールによる鬱です。それだけ。それだけってことにしておきたい。

 

まぁ市販薬ODなんて全然死ねるわけなくて「ゲロ止まんないし震え止まんないし目回るしやばいこれ本当に死ぬかも!」って焦ってたけど(ならやるな)ふつーに二日酔いの症状で2日もすれば元気に寝て起きて飯食ってました。その図太さもまたメンヘラって感じで最悪ですよね。

 

私の性格からして意外だと思われるかもしれませんが、女の子の集団での仕事が私は本当に楽しくて。いや、内心やべーやつを見てこいつよりはマシだって思ってたのかもしれないけど(売り掛け300万ある子とかいたし)でも皆本当に可愛くて、優しくて、そんな皆と本気で笑ったり、泣いたり、朝まで遊んで〆に朝マック食べて通勤ラッシュのなか悠々と帰って寝たりとにかく後先考えず本能のまま生きてたあの期間は、私にとって本当に楽しい思い出です。おかしいでしょ?そう言って笑ってよって感じでHYも歌っておりますが。

 

あれから、当時働いていたメンバーはもうちっともあの店に残っていないけど。上京した子や地元に帰った子、そういえば風俗に転職した子は皆お店のトップページに載っていた気がします。(私もね♡)さすが自称黄金世代。

本当に皆バラバラになってしまったし連絡も誰1人としてとっていないけど。それはきっと夜職に足を踏み入れた罪悪感がある子や辛い記憶だった子もいるからかもしれないけど。

 

でも私の中でだけはあの期間を楽しい思い出として胸の内に大切に仕舞っておくからね。大分美化された歪な青春をたまに思い出して微笑ませてください。