桃色核電波

俺はな、インターネットメンヘラ芸人を10年やってんだ。

これからどんどん成長しても、少年たちよ、容貌には必ず無関心に、煙草を吸わず、お酒もおまつり以外には飲まず、そうして、内気でちょっとおしゃれな娘さんに、気永に惚れなさい。

この1泊2日、感じることがありすぎてどこから書けばいいのかなと思う。私たちの旅行は前日関東に上陸した災害レベルの台風により予定が狂いに狂って、箱根園も、御殿場アウトレット芦ノ湖遊覧船も全部行けずじまいとなったし、あと私と同行者、2人ともお腹壊してたし、とうとう旅の目的である富士山も見られることはなかったがそれ以上の満足感があるためそれはそれでよかったと思う。自宅から箱根湯本まで、片道約10時間の旅である。

 

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漫画や映画でよく東京は空が狭くて重いなんて言うけれど私にとっては青くて広くて、いつだってカルピスやポカリスエットのCMのような清涼感があるのだ。

 

様々な交通トラブルや下痢に見舞われながらも無事箱根のホテルにチェックインした私達はベタベタした体を洗い流すためまずは天然温泉の大浴場に入った。源泉の打たせ湯、寝湯、数種類の露天風呂にサウナ付きである。先ずはここぞとばかりに源泉かけ流しの露天風呂に肩まで浸かる。しかしエヴァで観ていたけど箱根って本当に山奥なんだなぁ。定山渓みたい、なんて考えていると湯船に見たこともない黄色と黒の蜘蛛がひっくり返って浮いているのを見つけた。

「ひっ」

思わず喉から声が出る。すぐさま立ち上がり近くの打たせ湯へ行く。思わぬ長旅で肩も凝っている。小さな岩に座った途端、

 

 

 

 

びびびびびびびびびびッ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

肩が破けるかと思った。

 

 

 

 

 

何故隣のおばあさんは平然と入っていられるのだろう。歳をとると様々な感覚が麻痺するらしい。にしてもだ、感覚より先に肩に限界は来ないのか。私はまたしてもすぐ立ち上がって別の露天風呂に入った。

 

下からボコボコと泡が湧いているジャグジーにのんびり入っているとなにやら視線を感じる。私も顔を上げて視線を送り返す。天性の察しの良さと被害妄想でなんとなく視線の意味がわかる。このお風呂で私は浮いているのだ。体は普通にお風呂の中で座っているのだけど。みんなお風呂の中では化粧を落としているが私だけバチバチに化粧していて、流行りのワンホンマツエクでまつ毛もばっさばさ、髪まで巻いている。この後すっぴんで夕食のビュッフェに参加したくないからだ。

 

無印良品で感じるような居心地の悪さをどことなく感じる。狸小路の女性専用ほのかじゃ夜職の人間ばかりだからこんな違和感は感じたこと無かったなぁ。

 

私は周りに上手く溶け込めていると思ってたけど。

 

お里が知れるとはこの事だ。水商売の女だと思われてるのかな。

 

結局虫や視線に耐えきれず15分もしないうちにあがってきて部屋に戻って夕食まで仮眠を取った。惰眠を貪るという無気力系男子みたいな格好良い言葉がある。私はショートスリーパーなので薬を貪らないと10時間以上なんて眠れることがないので私とは無縁の言葉ですが。

 

夕食ビュッフェでは同行者とはしゃぎにはしゃいでずっとふざけていた。

「お前みたいなのがいるからバカッターっていなくならないんだよ」

「絶対嘘じゃん、嘘松じゃん」

「外人ニキ天ぷらに大はしゃぎやな」

出てくる単語単語全てインターネットの言葉だった。インターネット最高。VIPからきますた。ひろゆき2ちゃんねるを創設してくれてありがとう。

 

「つーかあなためちゃくちゃ歳とってない?」

 

同行者と会うのは約4ヶ月ぶりだがなんだか信じられないくらい顔が老け込んでいた。私と歳は変わらないのに、なんだかランジャタイの国崎に似ていた。

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余談だが私は黒髪ボブで今の源氏名は伊藤である。

 

いいだろう、私とお前でランジャタイの結成だ。

 

お前は昔と変わらず無茶苦茶なことをやればいい。私はただ隣で否定も肯定もせず相槌をうってあげるから。

 

「それなりに苦労してるからね、今。」

 

 

 同級生で子供を産み育てた女の子がこの前インスタに家族写真をあげていたがその子もとんでもなく老けていて、40代みたいで、私はこうなりたくないなって思ってたけど、お風呂でのこともありなんだか自分が世間知らずで大して苦労もしたことない浮ついた女のような気がして途端に恥ずかしくなった。

 

手だって私は綺麗にネイルをしていていつだってすべすべだ。同行者の手は血管が浮いていてゴツゴツしてしわしわで、なんだか一回りも二回りも歳が離れている人の手みたいだった。

きっと母になった同級生もこんな手をしているのだろう。